科学研究費助成事業 基盤研究(B)

課題名 弥生時代高地性集落の列島的再検証     

課題番号 20H01356

研究代表 森岡秀人((公財)古代学協会 客員研究員)

研究期間 2020年度~2023年度(4年間)

研究の概要

 

 考古学上熟知されてきた高地性集落は、年代論を根幹とする歴史の大きな枠組みが破綻する中で、歴史的評価が著しく多様化し、大きな転換期を迎えている。そこで、本研究では、これまで蓄積された調査成果・研究業績を踏まえつつ、利用可能となった新たな技術も用いながら、列島各地における高地性集落の時期、立地、遺構、遺物、分布などの実態を総合的に検討し、その歴史的性格を実証的に再評価することを目的としている。今日、学校教育では偏った弥生時代のイメージが流布しているが、本研究を通して今後の高地性集落研究の指針となる新たなフレームを構築することができれば、そのイメージを修正することにも寄与するであろう。

 

研究の目的

 弥生時代高地性集落の研究は、近年の弥生社会の研究動向全体とも深く関わって、歴史的評価が著しく多様化し、大きな転換期点に立っている。とくに、中国史書上に記述された「倭国乱」と時期が遊離する実例の増加など、年代論の激変が著しく関係している。しかし、これまでに多くの発掘調査成果・研究業績が蓄積されてきた分野であるだけに、それらを無にし、振り出しに戻るのは生産的とはいえない。そこで、本研究では、既存の考古学的知見と方法論、豊かな経験を基盤としつつ、パラダイム転換に不可欠な特徴的資料の再整備と問題点の克服を目途とした基礎研究を行うことで、新たな視座を創出し、今後の弥生社会、高地性集落研究の指針とすべきフレームの再構築を目指す。

 

研究組織

研究代表   森岡秀人(関西大学 (公財)古代学協会):研究の総括、学史

研究分担者

       桑原久男(天理大学):高地性集落の歴史的性格

       國下多美樹(龍谷大学):金属器保有の高地性集落をめぐる実態と受容背景・経路

       若林邦彦(同志社大学):弥生時代後半期における集落動態

       伊藤淳史(京都大学):近畿地方における弥生時代集落動態

       柴田昌児(愛媛大学):四国・瀬戸内地地域における高地性集落の動態

       田畑直彦(山口大学):中国西部・山陰地域の弥生時代集落の動態

       寺前直人(駒沢大学):高地性集落出土の石器組成

       森 貴教(新潟大学):北陸地域における高地性集落の動態

       山本 亮(東京国立博物館):弥生・古墳移行期の社会的変化と高地性集落の動向

       宇佐美智之(京都芸術大学):地理情報システムを活用した高地性集落の立地・眺望